ファミレスのメニューにラインナップされていた「コリッコリ!!ヤゲンなんこつ」
このメニューだけが「コリッコリ!」と怒ったような名前になっている。
きっと、どこか他の国の言葉では、人が怒るときに使う言葉なのかもしれない。
「コリッコリ!」は、日本語で言う「おいコラ!」のような罵声で、「ヤゲン」は、口に出して言えない相手を罵る汚い言葉かもしれない。
その国から来た留学生は、アルバイト研修でメニューを二度見すると思う。
「なんでこんな言葉がメニュー表に?」
いたずらに付けた料理の名前。
オーダーを取るだびに、分かってはいるけど罵られたように感じる留学生。
数年後、ファミレスの食材調達担当者は、ある食材の世界最大の輸出国へ向かった。
その国の中でも突出して大きな高層ビルの一角で、商社の会議室に担当者同士が向かい合う。
高そうなスーツに身を固めた商社のキーマンが口を開いた。
「貴方の店舗メニューに、『コリッコリ、ヤゲンなんこつ』という料理がありますね?」
ファミレスの担当者はにこやかに答える。
「ええ、ございます。おかげさまで売れ行きが好調でして、本日は材料となるなんこつの…」
キーマンは話を遮った。
「コリッコリ、ヤゲン。この国の言葉で、なんという意味か、知っていますか?」
黄色い陽の差す会議室には、沈黙の時間が流れていた。
※この話はフィクションです。
0 件のコメント:
コメントを投稿